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「クートラスの思い出」を読んだ - 2015.02.02 Mon

数年前、たまたま書店の美術関連のコーナーで手にした本。昨夜画家の夢を見たので、関係はないのだが何となく思い出しところどころ読みかえしてみた。このあまり聞き慣れない名前の画家はユトリロの再来と言われ、近年再評価されているそうだ。彼の最後の恋人であった日本人女性による回顧録である。

貧しい家庭に生まれたクートラスであったが、才能に恵まれ画家として成功する機会は何度もあった。パリの有力な画廊との契約をするも、期限までに作品を量産することを拒み、大成するチャンスを自らの手で潰してしまう。

極貧生活の中で純粋な芸術を求めるクートラス。筆者によると絵を描くことは“本当に生きる”という冒険だったのだ。凡人の私にはわからないが、芸術を追求するということは自分の身を削るようななんと孤独な行為なのだろう。

クートラスが生前に筆者である恋人に残した言葉が印象的だった。身勝手な母親に愛想をつかしたクートラスは何年も連絡を取らなかった。画廊との契約が決まりまとまったお金を手にしたとき、故郷を訪れると彼の母親はすでに他界していたのだ―。どんなにいがみ合っていても、たとえ心が通じ合うことがなくても、母と断絶してはきっと後悔するだろうと私は身に染みて思った。

「ママンに手紙を書くんだよ。一言だけでいいんだ、愛してるって伝えるんだよ。」

クートラスの言葉は私の心に突き刺さった。

彼が恋人に残した遺産は膨大な数の作品で、遺言状によると売却することも譲渡することもできないらしい。その中にカルトとよばれるタロットカードのような小さな絵がたくさんある。

一枚一枚を見ると素朴でかわいらしい絵柄であるが、並んだ写真を見ると迫力がある。画材を買うこともままならないほど貧乏だった彼はダンボールをカード大に切って、油絵の具を塗り重ねたりして、色んな加工を施したものだ。その一つ一つにストーリーがあり画家の思いがこもっている。どんなに貧乏でも芸術に対しては正直であったクートラスの最後の恋人として、最高のプレゼントを遺された筆者をうらやましく思った。

クートラスの思い出クートラスの思い出
(2011/11/15)
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プロフィール

ハヲルチア

Author:ハヲルチア
40歳で出産、老体にムチを打ちながら小さな息子と格闘中。現在派遣社員で翻訳の仕事をしています。主婦のつまらないひとりごと、奇妙な夢の記録、時々読書感想文、大好きなアートの話など―。

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