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天才の面倒を見る - 2014.11.03 Mon

職場の私の斜め前にその男は座っていた。白髪混じりのロングヘアをいつも掻き毟り、エアコンの風にのってフケが飛んでくる。その上、そいつは気難しく、いつもブツブツ小さな低い声で独り言を言っていたかと思えば、机をバーンとたたき雄たけびを上げ、プイッとその場からいなくなったりした。

皆はそいつのことを嫌っていたが、私は彼の母親か妻のようにかいがいしく世話をしている。その日も彼は何か意味不明のことを叫びどこかに行ってしまった。私が羽箒でみんなのデスクに降りかかった彼のフケを払い落としていると、新入社員のギャルが不思議そうに、何故あんな男の世話をしているのか聞いてきたので私は当然のように答えた。

「え。だってあいつベートーベンじゃん。」
「ベートーベンのヤツ空気読めないし、汚いしみんな嫌がってるよ。それにいっつも人のこと無視しやがんだよね。」
「まあ、確かに変人だけどさ、あいつ天才だし。あたし、あいつ歴史に名を残す人間になると思うんだ。」
「先輩も物好きだよね。キモくないの?」
「このまま放っておくと、あの汚いヘアスタイルのまま後世に伝わってしまうから、あたしが身ぎれいにしてあげるんだ。」
「はああ。意味わかんね。さっきもさ、仕事中になんか紙ビリビリ破きまくりやがるから、うるせえんだよな。シュレッダーしろっての。」
「えっ、また紙破いてた?」

私は急いでベートーベンのごみ箱をひっくり返した。ズタボロになった楽譜が大量に出てきた。
「また傑作捨ててんじゃん!あわわわ、これ交響曲のスコアっ!」

ごみ箱を漁ったことをベートーベンに見つかると切れられるので、こっそり家に持って帰ることにした。

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● COMMENT ●

NoTitle

ベートーヴェンじゃあ、仕方ありませんよね。フケが積もっても、なんていったって天才なんですから。
それにしても、人知れずゴミ箱に捨てられていった傑作のことが気になります。もしかしたら、わたし達が知らないだけで、数多くの名曲があったことでしょうに。

NoTitle

むぅにぃさん、コメントありがとうございます。
最近はベートーヴェンと表記するのですね。
曲に限らず、絵画や小説などゴミ箱行きになったものって沢山あるんでしょうねえ。


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プロフィール

ハヲルチア

Author:ハヲルチア
40歳で出産、老体にムチを打ちながら小さな息子と格闘中。現在派遣社員で翻訳の仕事をしています。主婦のつまらないひとりごと、奇妙な夢の記録、時々読書感想文、大好きなアートの話など―。

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