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えひこ - 2015.08.16 Sun

その人目をひくほど美人の彼女は、実家が私の家から歩いて五分ほどのところのお屋敷である。彼女が里帰り出産したので、たまたま私のお産の時、病院が同じで仲良くなったのだ。

私の息子と2日違いで生まれた彼女の息子は、母親そっくりでありまだ赤ん坊のくせに美少年の片鱗を見せつつあった。

私が一人で近所散歩中に彼女の実家の前を、通りかかった時、彼女が赤ん坊を抱っこして前方から歩いてきた。ああ、夏休みだし子どもを連れて帰省しているのだな、と思ったのだが、何だか様子がおかしい。

彼女の子どもは私の息子と同じく1歳8カ月のはずだが、彼女の腕に抱かれているその子はどうみてもやっと1歳ぐらいだ。

「久し振りだね!っていうかその子、S太くんちゃうやん。」
私が話しかけると、彼女は言った。
「従姉妹の子やで!この子のママが夏バテ気味やから私が代わりにあやしてるねん。」

髪がクルクルとカールしており、円らな黒目がとても可愛い顔立ちなのだが、妙に大人びており、あまり子供らしさがない。

「お名前何ていうの?」
「えひこだよ。」
「えいこ?」
「違う、違う。英語の英に、彦根の彦でえひこって言うねん。」
「へぇぇー。珍しいなぁ。それに女の子かと思うたわ。」

しばらく間があった後彼女は伏目がちの表情で言った。
「英彦のママもな、同じ名前でえひこって言うねんで。」

じゃあ、漢字で書くと英子なのかと聞こうとすると、質問する前に彼女が違う、英子じゃないと言った。

何だか気まずい空気が流れたので視線をそらすと彼女の実家のお屋敷が目に入った。明治末期から大正時代に建てられたであろうその立派な日本家屋には、人に畏怖の念を抱かせる威厳があった。彼女は関西弁で冗談を言うような気さくな女性であったが、それはキャラクターを演じているような違和感があり、その近寄りがたい美貌は、お屋敷が放つ雰囲気そのものであった。

旧家の風習など、庶民には理解できないようなことがあるのかもしれない。えひこの事は今後触れてはならないのだと、私は悟った。


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プロフィール

ハヲルチア

Author:ハヲルチア
40歳で出産、老体にムチを打ちながら小さな息子と格闘中。現在派遣社員で翻訳の仕事をしています。主婦のつまらないひとりごと、奇妙な夢の記録、時々読書感想文、大好きなアートの話など―。

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