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2024-03

バフォメット - 2015.07.04 Sat

私は就職先の給料や待遇に不満があった。夫も会社での仕事が激務であり、長い間転職を考えていた。そんな中、古い知人がとある人材登録の会社に勤めていることがわかり彼を頼ることにした。

彼が紹介してくれたのは、某大手財閥系グループメーカー関連の専門商社である。規模は小さいが、社名に某大手財閥の名が入っており信頼できる会社だと思い、夫婦揃ってその会社に転職することに決めた。

夫と私は同じフロアの別部署に配属された。転職前より仕事がずっと楽になったにもかかわらず、彼は日に日に元気がなくなっていった。

「どうしたん?仕事慣れへんの?」
「…。ちょっと言いにくいんだけど。」

夫によると自分のデスクの引き出しに、毎日黒魔術の道具に使われているとおぼしきものが入っているのだそうだ。夫の席まで行って確認すると、バフォメット(山羊頭で上半身が裸の姿をした悪魔)の紙人形やカードが沢山出てきたので、私は驚きとあまり息を呑んだ。こんな物は見たことがない。上質の紙に印刷された悪魔の絵は緻密かつ精巧で、一般に市販されている物とも思えない。

「これ…かなり…怖い。」
私も新しい職場の人々の慇懃無礼な雰囲気に何か違和感があった。私は転職に慎重だったので、実は前の会社をやめず休職扱いにしてもらっている。

「もしかして、退職届出しちゃったの?私は休職扱いだから戻れるけど…。」
私が夫にそう切り出すと夫はキレ気味で答えた。

「普通、転職するっていったら退職してからに決まってるだろ⁈ハァァ。どーしよ…。」
夫は頭を抱えこんだ。

その時私は急に気分が悪くなりお腹も痛くなった。月のものが大分遅れておりもしかして子宮筋腫出来たのか、何か婦人病にかかったのかもしれない。

「同じビルに婦人科が入ってるから、今すぐ行ってらっしゃい。」
同僚の女性が急に私に声をかけてきた。辛そうに見えたのかもしれないが、何故婦人科系とわかったのだろうか。訝しく思う私の気持ちをよそに彼女は、気持ち悪いほど親切に私を階下の産婦人科へ案内してくれた。

ベテランの中年女医は手慣れた様子で素早く診察を終え、こう言った。

「おめでとうございます。」
「え…。」
夫婦揃っての転職の慌ただしさもあり、ここ数ヶ月はお互い毎日のように夜遅くまで残業しており、身に覚えのない妊娠である。

誤診ではないだろうかと考えながらオフィスに戻ると女性社員たちが一様に微笑みを浮かべながら私に近づいてきた。

「さあ、そんな所に立ってないでお座りになって!ハヲルチアさんの体はあなた一人のものじゃないのですからね!」
「私たち女性陣が一丸となってハヲルチアさんの赤ちゃんを守って差し上げるわ。」

何故妊娠と診断されたことを知っているのだろうか、この人たちは…。私は昔観た映画の「ローズマリーの赤ちゃん」を思い出しとても恐ろしくなった。悪魔崇拝というものがこの現代にも存在するのだろうか。この会社に転職したのは偶然だろうか?組織ぐるみで黒魔術を行い、私に悪魔の子供を産ませようとしているのだろうか。一体何の目的で?なぜ私が?



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追記 
カラパイア 悪魔象「バフォメット」の完成で悪魔崇拝者がデトロイトに集結、史上最大の悪魔崇拝祭典が開かれる

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● COMMENT ●

私も、夢に出てくる人が勝手に自分の思考を読み取って、それを悪用してくることが多いです。風の谷のナウシカというマンガに「心を鎮めねば、奴は心を読むぞ!」というセリフがありましたが、その状態です。

ハンディーさん、コメントありがとうございます。悪用は嫌ですね。何故悪夢を見てしまうのでしょうね。


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プロフィール

ハヲルチア

Author:ハヲルチア
40歳で出産、老体にムチを打ちながら小さな息子と格闘中。現在派遣社員で翻訳の仕事をしています。主婦のつまらないひとりごと、奇妙な夢の記録、時々読書感想文、大好きなアートの話など―。

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