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2015-04

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独訴 - 2015.04.27 Mon

中小企業で派遣社員として働いている。その会社では事務処理に独自のシステムを使用して行っているのだが、これが今までに見たことのない代物なのである。画面上全てのボタンが日本語の漢字表記なのだ。

中々慣れることができないで、私は隣の席の女性に聞いてばかりいる。この仕事は一ヶ月後に終了で、もう次の仕事が決まっているので私もあまり覚える気が起こらない。

隣の席の女性は外国人風のスパイラルパーマをかけたロングヘアのド派手な社員だった。野生的な顔立ちにそのヘアスタイルはとてもよく似合っていて、元ガンズアンドローゼズのギタリストのスラッシュにそっくりである。

私は事務作業中に、またシステムの使い方がわからなくなり、スラッシュ似の女性に声をかける。私は早く仕事を済ませたいのだが、彼女は私にベリーダンスのイベントに一緒に行こうと熱心に誘う。

一通り話を聞き終えて、やっと私のパソコンを見てくれた。

「こういう時はね、独訴のボタンをクリックするの。困ったときはとにかく独訴ね。」
無数の黒電話のコードのような髪を揺らしながら彼女は言った。私は画面左上にある「独訴」と書かれたグレーの四角いボタンをクリックする。

新しい画面が開こうとしたその時目覚まし時計が鳴った。

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ハヲルチアの花が咲く - 2015.04.24 Fri

今年も寄せ植えにしたハオルチア類の多肉植物に花が咲いた。花といっても写真の通りつくしのようにニョキッと生えた地味なものだ。

ハオルチア科の植物の原産はアフリカである。砂漠に自生しているものは、砂に埋もれ葉先だけを出している。葉先が透明のレンズ上になっているのはそのためであり、そこから光を取り込んでいるのだ。

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私も二年近くの間、砂の下で潜伏しているような生活を続けていた。諸事情により妊娠・出産を機会に仕事を辞めざるを得なかったのだ。

子供を持つことがここ数年の目標であり、やっと叶えた夢である。もちろん、これ以上の幸せはないとも言える。

しかし私は母になったと同時にどうやって社会復帰するかに頭を悩ませた。私は一人息子を溺愛している。当たり前だが彼の人生と私の人生は別々の物だ。私は打ち込める仕事を持った方がよいだろう。彼に精神的に依存して生きていく訳にいかないと思ったのだ。

職がないので認可保育園のハードルは高い。そして40過ぎているので再就職も困難だ。仲良くない双方の両親は遠方に住んでいる。近くに頼れる親戚もいない。マイナス要素だらけだ。

ネットの◯◯小町などで私と似た境遇の人のトピックを探してみたが、読まなければよかったと思えるような内容の書き込みしかなかった。仕事のない高齢ママに世間の風は冷たいとしか思えない。

「正社員でも認可に入れないのに。」「アラフォー子持ちで再就職なんて無理無理!」
ネットにはネガティヴな言葉ばかりが目につく。

鬱屈した気持ちで過ごしていたのだが、ある時私は悟った。私の生き方は私だけのものである。他人を見ても私のロールモデルはない。自分がなりたいロールモデルは自分で作るしかないのだ、と。

私は砂に埋もれたハオルチアの葉のレンズのように外からの情報を貪欲に集めた。そして、諦める前に行動に移した。保育園は子供が6カ月の頃に申し込んで、昨年度は待機児童にした。そうすることで本年度の入園の優先度が少しでも上がることを期待したのだ。

その間は苦手なママ友付き合いに精を出した。近くに頼る身内がいないので助け合ったり情報交換したりする仲間を増やした。市のファミリーサポートにも登録し、私が就職活動をする時息子を見てくれる親切な人も確保した。

あっという間に半年過ぎ、なんと第一希望の保育園の内定を得ることが出来た。やはり周りの反応は「よく入れたわねぇ…。」だった。何事もやってみないとわからないものだ。

しかし内定に喜んでばかりはいられない。まず仕事を決めないことには保育園を追い出されてしまう。ここからが、本当に辛かった。涙が出そうになるので詳しくは書かないが、内定が出た2月初旬から3月にかけて就職活動ではかなり惨めなくやしい思いをした。

くじけそうになったが3月も終わりの頃に、トントン拍子で就職が決まった。出産前と比べると収入は下がるが、主婦の再就職としては決して悪くない。仕事の内容も経験を生かせるものであり、家からも比較的近く、残業は殆どない。ほぼ希望の条件を満たしている。4月1日の入園式には堂々と出席することが出来た。

他人が「そんなの無理に決まってるわよ。」と決めつけて言う言葉に耳を貸さないで良かった。子供が小さいのに可哀想!という人もいるが、私はそうは思わない。働き方、子供の教育は人それぞれだ。ウチは母も頑張って稼ぐので、その姿を見て息子にはたくましくそだってほしい。幸いにも夫は現在ハイレベルのイクメンに進化中である。

慣らし保育も無事終わり、息子は早くも園の生活に慣れてきたようだ。私も社会復帰直後からフルタイム勤務でエンジン全開だ。

ハヲルチアはね、低いとこらから頑張って地味な花を咲かせるんだ。

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中津駅 - 2015.04.19 Sun

大阪はスカイビルのある辺りは、不便なところだ。梅田の駅からは遠いし、周りの店も少ない。仕事で用事があって私はこの近辺の会社を訪れた。

10年ほど前に時代の寵児ともてはやされたが、その後会社の粉飾決算で懲役を食らったあの有名な社長が立ち上げた新しい会社らしい。受け付けに行くと、そこに知った顔があったーNちゃんだった。

Nちゃんは昔勤めていた会社で派遣社員として働いていた女の子である。女の子といってもしばらく会っていなかったので、もう30代半ばになるのか。彼女は家庭的で結婚願望がとても強い子だった。しかし男を見る目が全くと言っていい程なく、いつも妻子持ちの男に騙されては泣いている、そんな子だった。

私が久しぶり、と声をかけると彼女も明るくあいさつをしてくれた。何故か私は中年女の直感で彼女があの有名人社長の愛人をしていることを悟った。

私は昔の様に彼女に忠告をした。あの社長は現在バツイチの独身だが受付のアルバイトと結婚するとは思えない。このまま付き合い続けるのは無駄に歳を取るだけだ、早く別れて誠実な男性を探した方が良いと力説した。

彼女は私の言葉に顔をこわばらせ、次の瞬間私を見下すような顔でせせら笑った。

「ハヲルチアさん、私の彼が有名な人だからくやしいんでしょう。」

有名でお金持ちの男性とつきあっていることがステイタスのように思っているのだろうか。そんな子ではなかったと思うのだが。それに、ズルズルつきあっても未来が開けないのは彼女にも本当はわかっているのだと思う。

Nちゃんと疎遠になったのは、私が彼女の交際相手を手酷く批判したからであったことを思い出した。人当たりはいいが、女好きのチャラい営業マンが私は大嫌いだった。そいつは他の支店や取引先の女の子にも手を出しまくっていた。

引っかかる女の方も悪いが、結婚を夢見る純粋なNちゃんを騙しているのが許せなかった。しかもそいつは奥さんとうまくいっていないわけではなく、Nちゃんとの交際期間に子供が生まれていた。その話を聞いた時私は吐き気がした。

しかし、しかし他人の人生に口出しをする訳にはいかないのだ。私の忠告はNちゃんに取っては既婚女性の上から目線でウザい言葉でしかなかったのかもしれない。

私が仕事もプライベートも上手くいっていなかったその頃、何故かNちゃんは私の誕生日を覚えてくれていた。彼女はお昼休みに会社からデパートまで走ってバースデーケーキを買いに行き、私にちょっとしたサプライズをしてくれた。そんな可愛い子だった。

親友でも家族でもない。当たり障りのない付き合いをしていた同僚だが、私のことを慕ってくれていたのだ。でもーやはり彼女のプライベートに口出しをするべきではなかったのだろうか。

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気が付くと辺りは暗く、月が不気味に光り暗い夜道を照らしていた。梅田に戻ろうとしたが道を間違えた。御堂筋線の中津駅が近かったのでそこから地下鉄に乗ることにした。

ホームで電車を待っていたが線路にやって来たのは何十台もの途切れることのないタクシーだった。どのタクシーも同じ顔のドライバーが運転しており、一様に痩せこけてかけている眼鏡ばかりが大きく目立ちカマキリにそっくりだった。

どのタクシーも私を乗車拒否をし、私を非難しているかのようだった。

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ちまちま通信1を読んだ - 2015.04.12 Sun

ちまちま通信とは、私が半年前ぐらい前からよく訪れるようになったブログである。漫画エッセイ風の絵日記で、豆をくり抜いたところに顔があるような一家と飼い猫2匹の日常が描かれている。

このブログの過去の絵日記をまとめたものが本になったのだそうだ。ブログを読み始めた頃は本を購入するほどではないかな?と思っていたのだが、じわじわと絵の魅力にはまっていった。

ネットから人気が出た漫画といえば昔、猫村さんシリーズが流行したこともあり、こういった素朴な鉛筆画をネットで発表する人は結構いるのだと思う。ちまちま子さんの絵は斬新とかではないが、とても味わい深い絵である。また、絵が上手いというのはこういうことなのだなと思う。

スマホやPCで見るのも良いが、このような絵は紙に印刷されたものでぜひ手に取って見てみたい。たまたま、ブログを訪れた日に見た猫の絵がたまらなくツボに入る可愛らしさだったので思わずAmazonの購入するをポチッてしまった。

早速届いた本を読んでみた。小さくて可愛らしい本である。素朴なカバーを外すと装丁が猫の写真になっておりなかなか凝った作りだ。

ページを開くと、1ページ目の子ちまちゃんの絵がのっけからツボにはいった。こういうセンスが好きなのだ、私は。そしてやはり猫の絵がいい。ちま子さんに抱っこされている時の猫の表情ときたら!

ちまちま子さんのファンの方のほとんどは、このブログに癒されているのだろう。確かに一見、ほっこり・ほのぼの癒し系ではある。しかし、ちま子さんの家族構成と我家のそれが似ているせいだろうか、この日記の端々に私は主婦の苦悩が見え隠れした。

優しい夫、可愛い子供、可愛いペット、一軒家。結婚難と言われる時代にこれらを手にした主婦は幸せに違いないと思われがちだ。独身の元同僚や同級生に言わせると、悩みなんてないでしょう?幸せでしょう?だそうだ。

もちろん、私は幸福なのだと思う。特に子を授かったことはこの上ない喜びだ。しかし、何だろうか、この息苦しさは。

ちまちま子さんのことを知っている訳ではないし、実際にどのような生活をされているかは分からない。しかし、彼女もきっと幸せな生活の中で色々と思うことがあるのだろう。そういった思いを作品に昇華させているのではないだろうかと私は思った。

ちまちま通信1ちまちま通信1
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シェル・コレクター - 2015.04.10 Fri

息子を連れてどこか外国のリゾート地に旅行に来ている。どこまでも続く真っ白な砂浜と絵の具で塗りつぶしたような混じり気のない青い海のコントラストが、息を呑むほど美しい。

私は日焼けをする歳でもないし、息子もまだ小さいので海には入らず、ひたすら砂浜を散歩している。

私は息子が迷子にならないよう、気をつけながら足元を注意深く見ている。美しい貝殻が落ちていないか探しているのだ。私は子供の頃から貝殻が大好きで集めている。

しかし、真っ白い砂浜は人工的で、観光地で人が押し寄せるようなところだから貝殻なんて落ちてないだろうと半ばあきらめかけていた。

子供がしゃがみこんで「あーっ!!」と叫んだ。何かつまんでいるので見てみると薄桃色のサンゴのカケラだった。

「わあ、きれいだね!もっと探してみようか。」
サンゴが流れ着くのだから貝殻だってあるかも。期待に胸を膨らませ、砂浜をどんどん歩いた。

「あーっ、あーっ!!」
また息子が叫んだので、その場所に行ってみると、カタツムリほどのサイズの小さなオウム貝の殻が数個落ちていた。手にとってみるととても可愛いらしい。

他にもイチゴナツモモガイだとかオオイトカケガイと言った色や形の美しい貝殻が次から次へと見つかり、私は狂喜した。被っていた麦わら帽子を脱ぎ、その中へどんどん入れていった。

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珍しい貝殻を貪欲に拾うという、同じような夢を何度も見たことがある。これは、そのまま自分の願望だ。今はネットで外国の珍しい貝殻も手頃な値段で手に入る時代だが、できることなら自分の手で採取してみたい。

しかし、海辺に流れ着いた貝殻は欠けているものが多い。熱心なコレクターは、生きた貝か、死んでいても中に身が残った物を採ってきて、煮たりするなどして中身を取り出し、丁寧に洗ったものをコレクションに加えるそうだ。私にはそこまでする勇気も根気も時間もない。

昔読んだ「シェルコレクター」という短編集がある。美しい貝の絵の表紙に惹かれてどんな本かも知らずに手に取った本だ。表題の短編に出てくる貝殻を集める人は、私のように単に美しさだけに惹かれている訳ではなく、貝類を専門とする学者だ。

年老いた学者は盲目なので、他の感覚を研ぎ澄ませながら離島で生活をしている。貝を手に取り、その感触を確かめる。目は見えなくてもその造形美がわかるのだ。軟体動物が作り出す殻がなぜこのような美しい形を作るのか、長年研究を続ける学者にもわからない。

たまたま学者が住む離島を訪れたアメリカ人女性が医者も手を施しようがない奇病にかかり、偶然イモガイの猛毒で治してしまう。その噂を聞きつけた人々が島に押し寄せ、彼にイモガイを見つけるように催促する。外国からのメディアもやってきて、彼の大事な貝のコレクションは台無しになり、穏やかな研究生活は破綻するー。

この短編小説が舞台を日本に変えて映画化されるそうだ。誰がこの素敵な貝類学者を演じるのだろうと思い、調べてみるとリリー・フランキーだった…。好きだけどね…。

リリー・フランキーが盲目の貝類学者に

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ブロッコリーの精 - 2015.04.03 Fri

週に一度、田舎に住む母が段ボールに山ほどの野菜を送ってくれる。家庭菜園で採れたものや、近所の農家からのおすそ分けや地元の農協やスーパーでとれたものである。

小さな息子がいるので、無農薬の野菜は安心だ。有機野菜を都会で買うと割高であるので、母の行為は非常にありがたい。

しかし、困ったことは時々野菜にイモムシがくっついて来ることだ。無農薬なのだから虫が付くのは当たり前だ。しかし、田舎で育った私もすでに人生の半分以上を都会で過ごしている。まれに遭遇するイモムシにはぎょっとさせられるのだ。

以前母に、野菜を送る時にイモムシが付いていないか気をつけて欲しいことを頼むと、たいそう気分を悪くしたようだ。美味しい野菜であることの証明であるのだからイモムシが付いていることの何が悪いのかと。

確かに私の言い方も失礼だったのだろう。貴重な野菜を送ってもらって家計が助かっていることに母に感謝こそすれ文句を言う筋合いなどないのだ。反省した私はこのことを口にするのをやめた。

冬の間は虫が付くことがないので油断していた。今日は先週の土曜日に送られて来たブロッコリーがまだ残っているのを思い出し、今日の夕食に使うことにした。ザルにあけて洗っていると、久々の訪問客だった。

くるりんと体を丸めた灰色のそのイモムシはアンモナイトの化石のようだった。一週間も冷蔵庫の中にいたので生きているのか、死んでいるのかわからない。まるまると太っており、ブロッコリーにはこの子のうんこらしきものが沢山くっついていた。

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たらふく食べたんだな。それにイモムシって蝶か蛾か何か昆虫の赤ちゃんなんだよな。きみは、たったひとりで。暗く冷たい冷蔵庫の中で、きみはたったひとりで過ごしたんだな。そう思うと、この子が愛おしく思えてきた。

このブロッコリー、もらうね。私は心の中でそう呟き、イモムシを玄関先に植えてあるオリーブの木の下にそっと置いた。そして丹念にブロッコリーを洗って茹でた。大人はシンプルに胡麻ドレッシングをかけたサラダにし、息子にはチーズと一緒に練りこんでキッシュにした。

息子は何かよくわからない言葉を発しながらモリモリ食べた。私もとても美味しくいただいた。

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くねくね - 2015.04.02 Thu

その日夫は帰ってこなかった。心配で寝ずに帰りを待っていたが、日付が変わった直後急な睡魔におそわれ眠り込んでしまった。

明け方の4時ぐらいに玄関の鍵を開ける音で目が覚めた。放っておこうかと思ったが、まだ小さい息子もいるというのに、夜通しどこをほっつき歩いていたのか、問いただしたかったので起き出して階下に降りた。

私は一階のリビングで彼を責め立てた。
「お前だって一回も携帯に連絡してこなかったじゃん。俺のこと、心配してないんだと思ってたし。」
夫は開き直ってそう言った。内容は忘れたがもっともらしい言い訳をした後ベッドに入って背を向けるやいなや、いびきをかきながら寝始めた。

「チッキショー!!」
私は小梅太夫風に小さく叫び、幼い息子と同じ布団に入り寝ようとした、その時-。

「ズンドコズンドコ♪ンチャ、ンチャ、ンチャ♪」
カーステから漏れる重低音の大音量の音楽が外から聞こえた。隣家の一人息子が車で朝帰りをしてきたようだ。

「あんの、馬鹿息子めッ!また寝られへんやんけッ!」
隣の息子は確かもう30歳ぐらいになるはずなのだが好き気ままな生活をしている。定職についたことがないので、その辺の常識に欠けているのだ。これが嫌な性格のヤツだったら苦情のひとつでもいれてやるのだが、困ったことに彼は素直で愛想のいい青年だ。それなので、いつも私は家の中で文句を言うだけでストレスがたまる。

布団にもぐりこむと、夫と息子のダブルいびき攻撃で眠れない。このまま朝を迎えるのか。
と、その時また改造車のマフラー音とドンドコドンドコという重低音の音楽が聞こえた。これからまた出かけるのか、あの馬鹿息子は。今日はさすがに許せないな。

しかしその音は隣家の駐車場からではない。私の家の前の道路から聞こえる。隣家の息子が道路に出た気配はない。そしてその騒音はしばらく続いている。

気になった私は通りに面した2階の部屋からそっと外を見た。すると、今時めずらしいぐらい車体を低く改造した白い自動車が泊まっており、その前で見たことのない若い男がくねくねと踊っていた。ロングヘアの不良風だが、街頭に照らされた顔面は真っ白であった。

本能的にヤバイ、見てはいけないものを見てしまったと思った。これが今問題になっている危険ドラッグをやっているヤツなのか…。

しかし、その若い男の動きを見ていると何か違う。まったく無表情な真っ白な顔と、異様に細長い体と、くねくねした動きはこの世のものとは思えなかった。やはり見てはいけないものなのだ。視線をそらさないと。目が合うと恐ろしいことになるだろう。早く、早くこの場を離れないとアイツに気付かれる。でも私は凍りついたように動くことができない。まずい、マズイ…。これってネットで有名なシャレにならない怖い話のやつじゃないのか…。

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プロフィール

ハヲルチア

Author:ハヲルチア
40歳で出産、老体にムチを打ちながら小さな息子と格闘中。現在派遣社員で翻訳の仕事をしています。主婦のつまらないひとりごと、奇妙な夢の記録、時々読書感想文、大好きなアートの話など―。

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