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2017-03

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エドワード・ゴーリー展 - 2016.04.25 Mon

特にエドワード・ゴーリーのファンと言うわけではないが、『うろんな客』は大好きな絵本の一つだ。不気味であるが可愛いと言えなくもない、得体の知れない生き物とシンプルでエッジの効いた文章の組み合わせが最高だし、柴田元幸氏の華麗な和訳も素敵だ。

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他の作品も繊細なペン画と、美しい文字、オシャレなデザインの装丁が素晴らしい。ただ本の内容が……救い用の無い不幸な話であったり、全くもって意味がわからなかったりする。(意味を求めることに意味があるのかどうかも分からない。)故に私はエドワード・ゴーリーの事を冷たいナルシストのような、あるいはモンスターのような芸術家なのだと漠然と思っていた。私が彼に惹かれていたのは表面的なスタイリッシュさだけである。

『おぞましい二人』という作品がある。イギリスで実際に起こったカップルによる殺人事件をモチーフに書かれたものであり、出版当時は非難にさらされ本は返品の山となったのだそうだ。私もこの本の存在を知った時、この許しがたい事件のことを絵本にするなんて、やはりこの人は狂気じみた人間なのだと思ったのだ。

しかし、原画の横に添えられた説明を見て私は心を揺さぶられた。ゴーリー自身はこの事件に動揺し、作品にして吐き出さずにはいられなかったのだそうだ。

何故、子供が犠牲になる事件が毎日起こるのか。不幸な生い立ちの子供は大人になり、次の世代の子供を不幸にする。不幸の連鎖は止まらない。

世の中は不安なもの、暴力的なもので満ち溢れている。話は逸れるが地震だってそうだ。突然やってくる不幸に対して人間にはなす術もない。そういった暗鬱な人間の心の闇を絵本に描こうと思ったのだろうか。『おぞましい二人』の一文が忘れられない。「5歳のとき、彼は一生治ることのない風邪をひいた。」この風邪とは何を意味しているのだろうか。一生心に抱える闇のことなのだろうか。

この展覧会で日本初公開となる、ゴーリーの絵手紙を見た。彼が若い頃に母親に宛てたものだそうだ。やはり陰鬱さはあるのだが、字体や繊細なイラストが素晴らしい。送り先が母親という特別な存在だからこそ描けた絵手紙なのだろう。

こちらで素敵な絵手紙がご覧になれます。
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MOE特別編集 エドワード・ゴーリーの優雅な秘密 (白泉社ムック)

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Ozzyさんの孫  - 2016.01.04 Mon



囚人船 - 2015.12.14 Mon

外国籍の大きな貨物船が次々と目の前を通り過ぎて行く。が、私にはそれらが貨物船ではないことが分かっている―囚人船だ。

私が握りしめているチケットは囚人船に乗るためのものである。そこに記されている番号は航海番号や席番号などではない。私の罪状を記号化したものであり、見る人が見ると私がどのような罪を犯したのか一目瞭然となっている。そして、罪人の私はどの船でもかまわないので乗らないといけないようだ。

意を決し紺色の大きな船に乗り込むと、係りの男が無表情で私のチケットを確認する。
「お前の罪は重い。刑期はかなり長くなるだろう。その間お前は一般人との接触は禁止だ。今から最後の電話を、お前がかけたい奴にかけろ。」

私は人を殺した訳ではなく、詐欺罪だ。面会も手紙も禁止される程ではないと思うのだが、罪人の私にそんなことを主張する権利などないようだ。罪は罪、罰は罰として受け入れるしかないのだろう。

私は最後の電話をマリリン・マンソンにかけた。何故彼の様なスターの電話番号を知っているのかわからない。そして彼も私の事を知るはずもない。

「Hello.」
電話に出たのは確かにマリリン・マンソン本人で、あの魅惑的な低い声だった。私は今から離島にある刑務所に行く囚人であり、最後に電話をする権利があったので、あなたに電話をしたのだと拙い英語で必死に伝えた。

「何故、最後に電話をかける相手が僕なのかわからないな。例え君が僕の熱狂的なファンだとしてもね。」
「あなたの日本公演には3度足を運びましたから、熱心なファンだとは思います。」
「でもあなたが話すべき相手はあなたのママだろう?何故、愛してるって伝えないんだ?」

そんな事はわかっている。ママには謝らないといけないことが山ほどあったし、愛していることはいくら言っても言い足りないぐらいだ。でも同じぐらいママには私に謝って欲しいことか沢山あったし、私の事を愛して欲しかった。しかし取り返しのつかない罪を犯した今、母と話すことはどうしても出来なかった。

「これが最後の電話だから君はママに電話をするチャンスを失った訳だ。しかし、僕はファンを大事にする人間なんでね。うん、君がママの事を思ってるってことを僕から伝えてあげるよ。」

受話器を置いた私は泣き崩れ、もう会う事のかなわない母の事を思った。



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夜また夜の深い夜 - 2015.12.06 Sun

悲惨なバックグラウンドを持ちながらも、それを笑い飛ばし逞しく生きる女性たちの物語だ。綺麗事じゃないんだ、生きていくって事は。

主人公のマイコはナポリのスラムに母親と住む19歳の女の子だ。母親は日本人らしいがマイコには自分のアイデンティティーがわからない。ロンドンにいた頃は小学校に通わせて貰っていたが、その後各地を転々としているが母親に勉強を教えてもらっていた。

友達は作るなと言われ、名乗る名前もたびたび変わる。母親は整形手術を繰り返し、元の顔からはかけ離れた顔だちになってしまっている。

マイコは推測する。母親は日本で重大な罪を犯した犯罪者なのだろうか。謎の母から逃げ出した彼女は街中で知り合った違法入国者のエリスとアナと知り合う。

内戦が続くリベリアから命からがら逃げ出したエリス。家族を蹂躙され命を奪われ必死の思いで生きてきた。アナもまた陰鬱なモルドバの貧困から逃げ出してした。3人はナポリのマフィアからもらう仕事で食いつないでいる。

大まかなあらすじブックレビューで読んでいたのだが、宗教的対立や世界的な貧困の問題が浮き彫りにされているようなのでもう少し重い小説かと思っていた。著者の作品は大体読んでいるのだが、この小説はずいぶんとエンタメよりだなと思った。

国籍の違う3人はマフィアが行政を牛耳るナポリに住み、生い立ちがあまりにも深刻な為、エンタメと言うのは憚られるだろう。特にエリスの祖国での体験は壮絶を極める。しかしマイコと母親の正体はいったい何なのか?エリスとアナとの綱渡りのような危険な生活はどうなるのか?とグイグイ読者を引き込む力は凄く、本当に面白い小説だと思った。

著者の「東京島」を読み終えた時も思ったのだが、感想を一言で言うと女って強いってことだ。極限状況に追い込まれても、精神が崩壊する前に、図太く生きる術を身につける力が全ての女性には備わっているのではないか。子を産む機能がある性というのはそういうことではないだろうか。

私は、以前美輪明宏氏の講演会で聞いた言葉を思い出した。
「男性ってとっても繊細で弱い存在なの。それに比べて女性は強い。本当に強い。だから神様は女性から腕力を奪ったのよ。」

夜また夜の深い夜

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ホラー人形とあたしの天敵 - 2015.11.22 Sun

あたしとママ友のマリちゃんはそれぞれの子供を電動アシスト自転車に子供を乗せ、隣町の子育て支援センターから一緒に帰っている。車通りの少ない住宅街の細い道が近道なので、そこを二列になっておしゃべりをしながら自転車をこいでいた。

「やだ、ハヲちゃんあれ何?」
自転車を停めて、マリちゃんは歩道の電信柱の下あたりを指差した。そこを見ると薄汚れた裸の人形が横たわっていた。手は片方がなく、もう片方はありえない方向を向いている。人形の毛はまばらに抜けており、睫毛がバサバサの目は「カッ」と大きく開きこちらを見据えている。メキシコはソチミルコのどこかにある島に祀られている恐ろしい人形にそっくりだった。

日は暮れかけて、辺りはすっかり薄暗くなっていたのだが人形は青白く照らされている。横の電信柱にiPadのようなタブレット立てかけられたおりそこからの光だった。タブレットではホラー映画のチャイルドプレイの動画が流されており、ちょうどあの恐ろしい人形のチャッキーが人間を血祭りに上げているところだった。

「わぁぁ。この映像と人形ってセットだよね。タチ悪すぎ。」
ハロウィンはとっくに終わっているし、誰がこんなことをしたのだろうか。この近くにあるアンティークショップの店主は少し変わっているという噂だが彼の仕業だろうか。

家に帰ると、私の家の一階が私の務めている会社の職場になっていた。二階にはハシゴで登らなくてはいけなくて、私は子供をおんぶして登り、自分のプライベートスペースに逃げ込んだ。

階下から同僚が私を呼ぶ声が聞こえた。臨時の電話会議があるらしく海外の現地スタッフも参加するので通訳をしてほしいとのことだ。職場で英語を話すのは私だけなので仕方なく階下に降りようとする。

すると、ハシゴにあたしの大嫌いな女性社員が登ってきた。私は彼女と仕事の繋がりがないので普段は余程の用事でもない限り話をすることはない。

「悪いけど、急いでるからそこをどいて下さい。」
私はそう言ったのだが、彼女は無視し無言でハシゴを登ってくる。私がいるところまで登って来たとたんに彼女は私の胸に顔を押し付けて泣き出した。無言でヒックヒックとしゃくり上げている。

「あのさ、話聞くからさ、泣かないで。」
私はうんざりしたのだが、泣いている女性を放っておくことはできない。ようやく泣き止み顔をあげた彼女の顔を覗き込むと、嫌なオバサンだと思っていた彼女が可愛い幼い女の子のように見えたー。

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以前、ブログで書いた挨拶しない感じの悪い女性社員のことだ。彼女は挨拶しないだけでなく、不愉快な思いをさせられた事が何度もあったので、私は彼女から思いっきり距離を置く事にしたのだ。

アイサツはハイセツよりタイセツ

私は昼食は一人で食べるし、元々彼女は挨拶しないんだから私が無視をしている訳でもない。席替えもあり私は自分の上司の近くの席に移動したのでますます疎遠になり、彼女の存在は私の中で無いのも同然だ。

だが、薄々気付いていた。彼女が抱える孤独に‥。さて、今後どうしていけば良いものか。夢にまで出るぐらいなので私も気になっていたのだろう。今までのことは水に流し、ここは私が大人になるべきなのだろうか。私は優しい声を彼女に声をかけてあげるべきなのだろうか。

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プロフィール

ハヲルチア

Author:ハヲルチア
40歳で出産、老体にムチを打ちながら小さな息子と格闘中。現在派遣社員で翻訳の仕事をしています。主婦のつまらないひとりごと、奇妙な夢の記録、時々読書感想文、大好きなアートの話など―。

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